最近また、M&Aが盛んになってきていますが、以前のM&Aと違い、中小企業を中心としたM&Aが多くなっているといった特徴が見られます。これには様々な理由がありますが、最大の理由は、中小企業経営者の高齢化とそれに伴う後継者問題です。このほかには、中小企業を取り巻く経営環境の変化や、M&Aに対する中小企業経営者の意識の変化などです。
以下中小企業によるM&Aが増加している理由を、経営者の高齢化と後継者不足といった問題を中心に詳しく解説していきます。

中小企業経営者の高齢化と後継者難

 

いまなぜ、中小企業のM&Aが増加しているのか、高齢化と後継者問題から見ていきます。
 中小企業の経営者は、働く体力と気力があれば、定年を気にすることなく何歳になっても社長を続けることは可能です。実際、70代、80代でも現役の経営者として活躍していらっしゃる方も多くいます。ただ、いずれ遠からず引退するときはやってきます。その際、経営者が考えることは、廃業か事業承継です。
 廃業については、いまだに中小企業の経営者がやむなく取る手段です。しかし、廃業によって会社は消滅し、長年培ってきた技術、技能、ノウハウといった経営資源は途絶えてしまうことになります。そして、自身や家族、従業員、取引先への影響も甚大なものです。
 中小企業の経営者のこのような廃業による、重大な影響への認識と、何とか事業を承継する手段はないか、といったことが中小企業によるM&Aの増加の要因となっているのです。
事業承継には、大きく3つのパターンがあります。まず、親族への承継、次に従業員への承継(MBOなど)、そして第三者への承継、すなわちM&Aです。

親族への承継

 

経営者にとっては、長年苦労してつくりあげた会社ですから、その経営理念なども含め、自分の配偶者、子供、孫といった親族に引き継いでもらいたいと思うのも自然なことではあります。他方、自分が背負ってきた苦労はさせたくないという気持ちもあります。
 本来経営に不向きな子供や孫に、無理に引き継がせた結果、会社を潰してしまうかもしれません。また、中小企業は一般的に、所有と経営が一致しているため、誰がどれくらい株を持つかによって経営が大きく変わってしまいます。経営権をめぐって株の取り合いといった争いが生じるかもしれません。そのほか、相続税や贈与税のための株価対策、負債や保証といった親族への負担が増すこともあります。これらのことから、親族への承継よりもM&Aによる第三者への承継へと考えが変わってきているようです。

従業員への承継(MBOなど)

 

会社を託せる親族がいない場合、M&A以外に従業員への承継があります。会社の財務に精通し、経営手腕に長けており、長年経営者の片腕として従えてきた、取締役等の従業員に引き継いでもらうことです。一般的には、MBO(マネジメント・バイ・アウト)といった手法です。
経営者の理念、企業風土、経営の実情など十分に理解しているわけですから、安心できます。ただ、従業員ですから、株を取得するための資金力に限界があること、仮に取得できたとして、経営権を持てるだけの株式数を確保できるかといった問題があります。また、株式を相続したものの経営に疎い親族を抱き込み、実質的な会社乗っ取りまがいのことも見受けられます。このあたりが従業員への承継の限界かもしれません。

第三者への承継(M&A)

 

経営を引き継いでもらえる親族がいない、従業員への引き継ぎにもいろいろ問題があるなどの理由から、いっそのこと会社を売却してしまおうといった経営者も多くいます。他方、M&Aに対する様々な情報が手に入るようになり、中小企業にとってもM&Aは、事業承継の有効な手段であるとの認識が広まってきました。こういった事情を背景にして、中小企業経営者がM&Aを積極的に活用するようになったのです。

中小企業を取り巻く環境変化

 

中小企業の廃業による経済的損失は計り知れないものがあります。そこで、国や地方自治体などが補助金、助成金などの事業承継策を講じてきています。また、大企業なども中小企業の技術などを有効な経営資源と評価し、経営戦略の一環としてその取得のためにM&Aを利用する機会が増えています。このように、中小企業を取り巻く環境は、以前と比べずいぶん変化してきています。
 このようなことから、中小企業のM&Aは増加しているのです。

最後に

中小企業の経営者が一番気になるポイントは、「会社はどれくらいの値段で売却できるのか」ということではないでしょうか。会社の売却額がどのように決まるかをまとめているサイトもありますので、相場観を掴んでから検討をいただくことをおすすめします。